専門職にスポットを当てたインタビューは、当ブログの密かな人気コーナー。
当記事では公認会計士で、ブログ「公認会計士が考える人生戦略ブログ」を運営するブロガーのわんころくんにインタビュー。
公認会計士という名称はちょくちょく耳にするけど、仕事内容がさっぱりわかりません。
会計監査とかしてる人よね?
税理士とは違うの?
ていうか会計監査って何?
ということで、公認会計士にまつわる基本のキから、生態など、素朴な疑問を聞きまくりました。
- 「会計監査」という仕事は公認会計士の資格がある人しかできない「独占業務」
- 監査先の会社は、会計士が「見せて!」といった書類を見せる義務がある
- 公認会計士は「監査」を通じて色んな会社のルールや仕組みづくりを見ている
- 公認会計士には「有事が起こる前に起こりそうな部分を発見する」ことが求められる
- 監査の仕事で 5名程度の監査チームを組んでチーム単位で動いています
- 3月決算の会社の監査が多いから、忙しい時期は4月〜5月がピーク
- 会計士はTUMIのカバンを持っている人が多い!笑
- 名刺に「公認会計士」と書くまでは、長く険しい道のりがある
- 税理士と公認会計士の違いを知っている人ってそんなに多くない
- 公認会計士でも、登録をせずに税務申告書を作成したり、税務相談をしたりすると法律違反
- 公認会計士の魅力の1つは、男女で仕事の優劣差が全くないところ
- インタビューにこたえてくれた人
- 公認会計士わんころくんのブログはこちら
- 他にもいろいろインタビューしてますよ〜
- 人気記事も紹介しておきます。よろしければどうぞ
「会計監査」という仕事は公認会計士の資格がある人しかできない「独占業務」
公認会計士ってどんな仕事をするニャ?
公認会計士って日常生活では基本的に関わることはなくて、わかりにくいですよね。
公認会計士の仕事は、おそらくみなさんが想像されている以上に多岐にわたりますが、「公認会計士の仕事」として一般的に紹介される「監査」について説明してみたいと思います。
なぜ「監査」が一般的に公認会計士の仕事として紹介されるのか?というと、公認会計士がやっている「会計監査」という仕事は公認会計士の資格がある人しかできない「独占業務」だからです。
独占業務?難しいニャよ…
「独占業務」は、わかりやすく言えば、弁護士さんがやっている法律の仕事や、お医者さんがやっている病気の診察とかですかね。
ほか人がその仕事をやると捕まります。笑
公認会計士が行う「会計監査」というのは、調べてもらうと漢字の多い定義が色々出てくると思いますが、「会社のつくった決算書の数字が間違っていないか」について会社外部の人間がチェックする仕事です。
なので、公認会計士が監査をする場合は、一般的には公認会計士ばっかりで集まった会社組織「監査法人」が監査をします。
「監査をしている公認会計士」っていうのは、監査されている会社の人間ではないんです。
外部の組織の人間で、監査先からお金をもらって決算書にお墨付きを与えている仕事になります。
監査先の会社は、会計士が「見せて!」といった書類を見せる義務がある
具体的な例でいうと、誰もが知っている会社「パナソニック」は「有限責任あずさ監査法人」という組織が監査しています。
上場会社はすべて「公認会計士が監査して、お墨付きをもらえないと決算書(有価証券報告書等)が出せない」というルールになっています。
これのお墨付きを出さないとどうなるか?それは、株価が暴落します。笑
そして、上場会社は上場廃止になります。
ニャンと!?公認会計士の責任は重大ニャ!!
それゆえ、公認会計士は経済社会を支える「市場の番人」と表現されることもあります。
つまり、「監査」は、投資をする人(株主や債権者)が間違った決算書を読んで誤った判断をしないようにお墨付きを与える仕事なのです。
それがしっかりとできないと、東芝の不正事件みたいなことが起きます…
公認会計士が監査をスムーズにできるように、監査先の会社は、会計士が「見せて!」といった書類を見せる義務があります。
それが例え経営者層で行っている極秘プロジェクトの資料であってもです。
ニャるほど、公認会計士は不正を防ぐ役目も担っているニャね
公認会計士は会社の経営や、業界の知識に関しても多くの会社の監査をすることで把握できているのです。
実際の「お墨付き」というのは、「監査報告書」というものを発行することで行なっています。
さきほどのパナソニックの例だと、パナソニックの「有価証券報告書」がホームページに載っているので一番後ろのほうのページを見てみてください。(パナソニックの有価証券報告書は、こちらから確認できます)
公認会計士は「監査」を通じて色んな会社のルールや仕組みづくりを見ている
公認会計士は、「会計監査」以外にはどんな仕事をするニャ?
コンサルティング業務や税務業務と言われる仕事があります。
コンサルティング業務は、例えば会社の会計処理について教えてあげてお金をもらう「経理指導」や、会社の経営について数字の面(将来予想している売上や利益など)でサポートします。
ほかにも、「内部統制構築支援」という形のコンサルティング業務もあります。
この「内部統制構築支援」(むずかしい漢字使いますよね)は、一言でいうと「会社がわざと決算数字を改ざんしないように、また、うっかり決算処理を間違ってしまわないように、日常業務の中でのチェックポイントについて指導する仕事」です。
これは、決算書を作っている経理部署だけを対象としているのではなくて、例えば営業マンが売ってもいないのに売り上げてきました!って報告をしてきたときに、本当は売っていないことを発見できる方法を指導するのも内部統制構築支援です。
なんでこんなことができるかっていうと、「監査」を通じて色んな会社のルールや仕組みづくりを見ているからです。
監査の知識や経験が積み重なって、会社がより正確な決算が組めるような支援ができるようになります。
公認会計士には「有事が起こる前に起こりそうな部分を発見する」ことが求められる
公認会計士は人手不足?仕事不足どっちニャ?
公認会計士は人手不足です。
いまはネットでいろんな情報をとれるので、当然公認会計士に対するネガテイブな情報も多く流れているのもその一因かと。
公認会計士の仕事は将来的になくなるという噂は聞いたことがあるニャ
たとえば、
- 公認会計士はAIによって仕事がなくなる
- 公認会計士は難関試験のわりに合格しても仕事がきつい(コスパが悪い)
- せっかく合格しても就職できるかわからない
- もう資格があっても食っていける時代じゃない
とか、ほんと色々です。笑
ブロガーの方ならイメージがつきやすいのは、「インフルエンサーが匿名であることないこと叩かれている」ような感じです。笑
あとは実際のところ、景気がよくないこともあって受験生が減っていますので当然監査法人に入所する会計士は減っています。
公認会計士を目指す若者が減っているニャか…
ほかにも、最近政府(金融庁)をはじめ、公認会計士に対する外部の目がだんだんと厳しくなってきています(期待の現れでもありますが)ので、それに応えるべく、公認会計士の仕事自体も高度化、複雑化しており、業務量自体は以前より膨大に増加しているのも一因です。
特に監査の仕事って、会社の決算が「間違っていないかをチェックする」という観点で見ないといけないので、「間違ったことが起こっていないことを証明する」必要があるのです。
実際結構大変です。
仕事量は増えているニャか!ひえ〜〜大変ニャー!
有事が起こった後にその原因を調べることはそこまで難しくないですが、「有事が起こる前に起こりそうな部分を発見する」ことが求められるのです。
一部の人間は、これを「悪魔の証明」なんて言ったりしてます。笑
だって、「ないということを証明」しないといけないんですから。笑
監査の仕事で 5名程度の監査チームを組んでチーム単位で動いています
わんころくんはどんなお仕事をしているニャか?
僕もいままで説明してきた監査の仕事をしています。
説明と同じような仕事ですが、普段は5名程度の監査チームを組んでチーム単位で動いています。
もちろん、1人1社の監査をしているわけではなくて、色んな人と監査チームを組んで複数の会社を監査しています。
僕自身でいうと、監査法人に入って4〜5年程度ですが、すでに30社程度は監査で関わりました。
守秘義務があるので具体的なところは言えませんが、名の知れた会社も監査した経験があります。
監査と派生して、「経理指導」や「株式上場支援」なども時にはやっています。
また、難しい専門用語ニャ…公認会計士の言葉は漢字だらけニャね…
経理指導は、その名のとおり、「経理が正しく処理できるように会計の考え方や仕訳の方法を指導する」仕事です。
「株式上場支援」は、非上場会社が株式市場に上場する際にその提出書類(決算数値関係)をチェックする仕事です。
ほかにも少しだけですが、採用活動にも関わっています。
3月決算の会社の監査が多いから、忙しい時期は4月〜5月がピーク
公認会計士に繁忙期はあるのかニャ?その時期はどれくらい大変ニャ?
忙しい時期は4月〜5月がピークですかね。
なぜ忙しいかというと、3月決算の会社の監査が多いからです(というか、3月決算の会社自体が多いです)。
監査は会社が作った決算書を監査するので、会社が3月末までの情報を元に4月上旬に決算を作成して、それをもとに監査がスタートする、というのが一般的な流れです。
そして、契約内容や監査の内容にもよりますが、5月か6月頃には監査報告書(お墨付きを与える書類)を発行します。
その監査報告書を発行するために、会社の決算が間違っていないかどうかについて、いろんな面から監査しますのでこの時期が一番忙しいです。
ただ、業界全体としてこの時期だけ最も忙しい状況をどうにか回避できないか、という動きも起こっており、できる限り前倒しで仕事をすることで、繁忙感を減らそうとしています。
その時期がどれぐらい忙しいか、は人によりますが、平均すると毎日早くても21時ぐらいまでは仕事をしているのではないでしょうか。
僕はその時期になると、毎日終電です。笑
会計士はTUMIのカバンを持っている人が多い!笑
公認会計士あるあるって何かあるニャか?
「公認会計士あるある」かぁ。
たとえば、公認会計士って結構出張が多かったり、荷物が多かったりしてキャリーケースを引いている人が多いです。
出張でなくても、「手持ちカバン+小さめのキャリーケース」という組み合わせで移動している人が結構多いです。
そういう人を見かけると、会計士かも?って思ってしまいますね。
公認会計士はミニマリストになれないニャね。笑
ほかには、会計士は監査している決算期末(3月決算なら3月末)の時期になると多くの会計士が棚卸の監査のため工場に日帰りで向かいます。
なので、3月末の夜の新幹線は会計士がいっぱい乗ってると思います。笑
あとはですね、会計士はTUMIのカバンを持っている人が多い!笑
突然ビジネスバッグブランドぶっこんできたニャー!!笑
TUMIのカバンって結構高いですけど丈夫で容量が入るんです。
書類やPC、文房具などでカバンに入れるものが多いので結構使い勝手がいいカバンですね。
職業病だなと思うことって何かあるニャか?
仕事柄、「これってどういう仕組み?」っていうことを考える機会が多くて、日常生活でも考えてしまうのは会計士あるあるの職業病かもしれません。笑
例えば、売っているものを見たら、「これってどうやって利益出してるんだろう?」とか、「これってあの会社の商品だよな」とかついつい見てしまったりします。
名刺に「公認会計士」と書くまでは、長く険しい道のりがある
公認会計士になるためにはどんな勉強をして、どんな資格がいるニャ?
公認会計士になるためには、合計3回試験に合格しないといけません。
公認会計士試験は、国家試験ですが特に受験資格はなくて、極論中学生でも受験できます(合格できるかどうかは別ですが)。
3回の試験は、一次試験の「短答式試験」、二次試験の「論文式試験」、実務試験の「修了考査」の3回です。
一次試験の短答式試験はマークシート方式で、以下の科目に合格する必要があります。
- 財務会計論…簡単にいうと、簿記計算とその理論
- 管理会計論…簡単にいうと、社内の業績測定や分析のための会計計算と理論
- 監査論…公認会計士の独占業務である「監査」を学ぶ科目
- 企業法…会社法や金融商品取引法、商法などを学ぶ法律です。設立登記から会社の法律を学びます。
二次試験の「論文式試験」になると、短答式試験の科目に加えて、租税法(法人税、消費税、所得税の税金科目)と選択科目(経営学、経済学、統計学、民法の4つから1つを選択)が追加されます。
論文式試験はすべて「記述式」の試験です。
記述式…ゾッとするニャ…めまいがしてきたニャ…
色々書いてますけど、ざっくり言えば、「会計と税金と法律と経営について、企業を経営していく上で必要な幅広くて深い知識が問われる試験に合格する必要がある」、ということです。
漢字だらけでほぼ、何を言ってるかわからニャいけど、大変なことはわかるニャ!
ここまで合格すると「公認会計士試験合格者」として監査法人などで実務経験を積むことになり、定めれた一定規模の会社や監査法人などで2年以上の実務経験を積んだ上で、かつ、「実務補習所」というところに働きながら通って、単位を取ったり実務試験を定期的に受けたりして必要単位を満たせば、最後の「修了考査」を受ける資格が得られます。
まだ公認会計士を名乗れないニャか!?
実務補習というのは、日本では弁護士と公認会計士のみにある制度のようです。
イメージしやすいように例えると、車の教習所のようなものです。
教習所に通ってペーパー試験と実務試験に合格しないと資格をとれませんよね。
会計士も同じようなことをする必要があります。
そして最後に実務試験である「修了考査」に合格してはじめて「公認会計士」として登録でき、名乗る資格を得ます。
ここまで終わらないと、名刺に「公認会計士」と書いてはいけません。
長い道のりです。。。
公認会計士になるためには、こんなにがんばらなくちゃダメニャね…さっきよりも、わんころくんがキラキラして見えるニャ。
税理士と公認会計士の違いを知っている人ってそんなに多くない
税理士と公認会計士の違いがよくわからんニャ。間違えられることはあるかニャ?
しょっちゅう間違えられます。
というか、違いを知っている人ってそんなに多くないという実感です。
あ、やっぱり…
資格の話だけでいうと、公認会計士は申請することで税理士登録ができるので、登録することで税理士業務ができます。
追加で試験を受ける必要もありません。
公認会計士は当然に税金の必要な勉強は修了している、という整理です。
昔に「なぜ公認会計士は税理士登録できるのか?おかしい!」っていう議論が税理士業界から公認会計士業界に言われたことがありました。
そんなことがあったんニャね〜
ただ、結果的には、今と同じで「公認会計士は税理士登録ができる」という方針に変更はないことになりました。
逆に、税理士であっても公認会計士登録はできません。
どちらが偉いか?っていう話ではなくて、そもそも想定しているフィールドが違います。
フィールド?税理士はどんな仕事をするニャか?
税理士は税務のサポートをすることが仕事です。
公認会計士の多くは、税理士登録をしないのであれば対象のお客さんは上場会社を中心とした比較的規模の大きな会社です(会社の規模が一定以上なると公認会計士による監査が義務化されますので)。
なので公認会計士業務に必要な知識は税理士試験だけでは賄えない、というのが定説です。
こういう関係があるからごっちゃになるんだと思いますね。
公認会計士でも、登録をせずに税務申告書を作成したり、税務相談をしたりすると法律違反
ほえ〜〜公認会計士は税理士にもなれるんニャね〜
公認会計士も税理士登録をしないと、税理士業務をしてはいけないと定められています。
なので、いくら公認会計士だとはいえ、登録をしていないと税務申告書を作成したり、税務相談をしたりすると法律違反です。
公認会計士の監査と同じで、「税務業務」は税理士の独占業務です。
ちなみに、公認会計士も税理士も、毎年資格を維持するのに維持費がかかります。
公認会計士の魅力の1つは、男女で仕事の優劣差が全くないところ
飼い主(ていない)が、公認会計士になるって言ったら、わんころくんはオススメするかニャ〜?
難しい質問ですね。笑
試験に合格するのに時間がかかる試験ですし、資格をとってどうしたいか?というのがあるのであれば、ぜひオススメします。
一方で、とりあえず公認会計士になろう、というのはオススメしません。
資格は取ることがゴールではなくて、取ってからが勝負です。
「とりあえず公認会計士の勉強をしようか」という発想でもまだオススメできるのは大学生までですかね。笑
ただ、主婦の方でも公認会計士を目指すんだ!という人も中にはおられます。
公認会計士の魅力の1つは、男女で仕事の優劣差が全くないところです。
日本企業ってどこか古い考えが残っていて、男性でなければ出世できない、、、なんて会社も残念ながら存在します。
公認会計士は自分の知識と経験を売る仕事ですので、男女は全く関係ないという部分では良いと思いますね。
わんころくんありがとニャー!公認会計士になるまでは大変で、なってからも大変ということが、わかったニャよ。それにしても、噛み砕いて説明してもらっても漢字だらけで、猫には難しいニャ〜。笑
インタビューにこたえてくれた人
20代の公認会計士でブロガー 。
自分で覚えておく備忘の意味も込めて、自分の身に起こったことや、日常生活で気づいたことについて、ざっくばらんにブログで発信中。
関西で監査法人に勤務していますが、将来独立できるよう日々精進したいと思います。
日々葛藤もありますが、前向きに頑張ります!